特発性乏精子症・精子無力症のリコピンによる治療法

更新日:5月21日



N.K.Mohanty, Kumar Sujit, A.K.Jha, R.P.Arora
新德里 Safdarjung 医院泌尿外科



要約

特発性乏精子症・精子無力症は、男性不妊症の24%を占めている。そのような男性不妊症の原因としてのフリーラジカルの役割が最近立証された。我々は、フリーラジカルによるそのような不妊症の男性の治療におけるリコピン(抗酸化物質)の役割を立証する研究に着手した。

 正常のホルモンプロフィールと抗精子抗体滴定濃度をもっているが特発性乏精子症・精子無力症を示していて、その不妊症の明白な原因がない合計50人の患者に、その精子分析結果が最善のレベルまで改善するか妊娠が達成される迄毎日8mgのリコピン(Lycored)が投与され、精子の分析について、1年間定期的な追跡調査が行われた。

 結果は、36%の妊娠率を示し、それぞれ70%と60%で精子数の改善、機能的精子濃度が改善し、54%と46%で精子の運動性と精子の運動性指数が改善し、一方38%は精子の形態の改善を示した。患者が指示された治療によく従って副作用は全然なかった。

 結論:リコピンの補足は、特発性乏精子症・精子無力症の治療において明確な役割を持っている。

序文

 精子機能の損傷は、男性の特発性不妊症の明白な、そして一般的な原因である¹。特発性男性不妊症は、すべての男性の不妊症患者の約24%を占めている。彼等の抗精子抗体滴定濃度とホルモンプロフィールは十分に正常値範囲内であるが、彼等の精子は乏精子症か精子無力症或いはテトラ精子症を示している。

 男性の不妊症に関係のある最も共通な異常の一つは、彼等の射精液の中のフリーラジカルの存在である。これらのフリーラジカルは、精子の構造とDNA物質を損傷する(Brit Scientfic &Med; 1998年11月)。

 過剰反応性酸素種(ROS)の産生を起こす参加ストレス状態(OSS)は、特発性男性不妊症を引き起こす精子損傷、ひっくい精子数、不活発な運動性の原因となる要因であると、現在考えられている。フリーラジカルの抑制されない、過剰な産生は、不妊症の男性になる大きな要因の1つとして有意な役割を持っている。²⁻⁶無作為に選べれた不妊症の患者の40~80%は、高いレベルの精子の遊離酸素基を持っていることを、研究は示している。⁷ 不妊症の男性は、生殖能力のある男性よりも高いフリーラジカルを持っている。(Centre for Male Reparod Med)ヒトの精子は、他不飽和脂肪酸(PUFA)に富んでいるので、脂肪過剰参加の媒介によってフリーラジカルの攻撃をうけやすい。⁸-⁹

 フリーラジカルは不妊症の男性の40%の精子の中に検出されるが、生殖能力のある男性の精子の中には少しも検出されない。(Ind Jr of Androl: 1993)

 過剰のフリーラジカルは、精子細胞の脂質過剰参加の増加と関係がある。脂肪過酸化物は、精子の構造と機能を変える蛋白質とDNAの重大なSHグループの酸化によって、蛋白質を損傷する。

 ROSの有害な影響を阻止するために、精子と精子血漿は、ROSを除去して内細胞の損傷を阻止するいくつかの抗酸化システムを持っている。10.12.13
 計画研究によって、高いレベルのフリーラジカル(FR)を産生する男性は、低いフリーラ ジカルをもった男性に比べて妊娠する可能性が7倍少ないことが示された。10 精子膜、DNA、蛋白質の損傷による精子数、運動性、生存能力の減少や、精子の受精能力獲得や先体反応を損傷する中間部分の欠陥の増大のように、いろいろな段階での妊娠過程に影響を及ぼすことによって、フリーラジカルは男性不妊症を引き起こすのである。14-16

 不妊症の男性は、その射出された精液の中のフリーラジカル誘発のDNA損傷のレベルが高く17、叉8-ヒドロキシデオキシグアノシンのレベルも高いことが、研究によって示された。最近の研究は、OSSから精子のDNA切断が起こることを示した。19 脂質過酸化物は精子にとって非常に有害で、自発運動能力の可逆停止を引き起こし20.21.8、その結果テトラ精子症になる。

 高レベルのFRは、ミトコンドリア酵素と細胞膜合成物の損傷によるATP合成の阻害のために、精子の運動性を抑制する。22.23 高レベルのフリーラジカルは、主としてATPの涸渇と不十分な染色系蛋白質燐酸化と精子卵母細胞融合25-27 の能力減少のために、可逆性染色系損傷と精子不動化24 を引き起こすことが、研究によって示された。FRによる精子卵母細胞融合において、負の相関関係が観察される。25.27.30

 前立腺炎、睾丸副睾丸炎、精嚢炎のような男性生殖器の感染症は、より多くのフリーラジカルの産生を引き起こし、その結果精子に有害な影響を及ぼすことになる。28 リコピンレベルは不妊症の男性の精子血漿において有意に減少した。

 従って、脂質過剰酸化による精子膜損傷、精子蛋白質損傷、精子DNA損傷のように、色々なレベルにおける精子形成の過程に影響を及ぼすことによって、フリーラジカルは不妊症を引き起こすことである。29

 特発性男性不妊症の原因としてのFRの役割が多くの注目をひいていて、今日益々多くの研究がこの仮説の正しいことを確認している。精子の抗酸化力の低下が男性の不妊症と密接に関連していたのである。総抗酸化力(TAC)と個々の抗酸化レベルの両方が、不妊症の男性の血清でより低いことが示された。4.10.11

 このフリーラジカルの形成を処理し、捕捉し、抑制する抗酸化物質での前処理はDNA損傷を減少させることが出来ることが、研究によって明らかにされた。30

 よく知られている生物学的抗酸化物質の中で、超酸化物不均化酵素(SOD)、カタラーゼ(CAT)、グルタチオンペルオキシターゼ(GSH)は、過酸化酵素損傷に対して精子を守るのに有意な役割をもっている。31.32 したがって、抗酸化治療が特発性不妊症男性に対し、て考えられる。33.34 抗酸化防御の回復が、精子の生理機能を元気づけるのに有益であるかもしれないと、別の研究35が示した。

 更に、抗酸化物質を用いて経験的に治療された不妊症の男性に関する研究は、より高い妊娠率をもつ改善された精子の特質36-39を示した。
 リコピンは、果物や野菜の中で自然に合成されて存在する650種の異なったカロチノイドの1つである。リコピンは、FRに対する我々の酸化還元防御における最も強力な抑制物である。リコピンは、乏精子症・精子無力症による男性不妊症の治療において大きな役割をする。
 我々の研究の目的は、乏精子症・精子無力症による特発性男性不妊症の患者を治療する際のリコピン補足の役割を評価することである。

材料と方法

 正常のホルモンプロフィールと抗精子抗体滴定濃度をもっているが乏精子症・精子無力症の50人の不妊症男性が、下記の加入基準をもった我々の研究の中に含まれた。

  - 年齢  21~50歳
  - 精子数  5千万/立方ミリメーター以下
  - 精子運動性  50%以下
  - 精子形態(正常) 50%以下
  - 精子運動性指数  80以下
  - 機能的精子数  3百万/立方ミリメーター以下
  - 不妊症治療をうけた経験がない
  - 閉塞性無精子症の病歴がない
  - 正常な女性のパートナー
  - 文書の承諾

 上記の加入基準で、すべてこれら50人の男性は完全な経歴、性生活、臨床検査をうけた。決まりきったヘモグラム、肝機能テスト、腎臓機能テスト、ホルモンプロフィール、抗精子抗体滴定濃度が行われた。精液検査は、射精の2時間以内に三つの異なった中心で行われたが、各々のテストの前には3日間の禁欲期間があった。

表Ⅰ
最善の精液の分析


 これらすべての50人の患者は、それから彼等の精子分析が最善のレベル(表Ⅰ)を示すか妊娠が達成されるまで、毎日リコピン(Lycored)8mgの投与で治療された。患者は定期的に精子分析で追跡調査された。その後、結果が分析された。
 我々は12ヶ月の追跡調査の後、我々の結果を次の通り示す:

結果
 50人すべての患者は指示された治療法に非常によく従って試験を完了し、12ヶ月の追跡調査で副作用は全く認められなかった。
 精液分析では、35人の患者(70%)で精子数の改善、30人の患者(60%)で機能は精子濃度(FSC)の改善が示された。精子の運動性は27人の患者(54%)で最善のレベルまで改善し、一方精子の運動性指数(SMI)は23人の患者(46%)で改善し、精子の形態の改善は期待していた程ではないが19人の患者(38%)で見られた。(表Ⅱ)

表Ⅱ 精液の分析



表Ⅲ 妊娠率


 合計で18人の患者(36%)において、精子分析のすべてのパラメーターは最善のレベルまでの改善を示し(表Ⅰ)、彼等を誇り高い父親にした。妊娠率(36%)は大半治療の3か月の終わりに見られ、治療の6ヶ月の終わりとそれ以降は減少した。(表Ⅲ)

論考
 ROSを抑制された産生は、活動亢進、受精能獲得先体反応のような精子の機能において生理的役割をもつが42.14、 高いレベルのROSが不妊症の男性の精子で検出された15.16、そしてこれがDNAの切断を引き起こす3. 欠陥のある精子の機能が特発性男性不妊症の最も一般的な原因であるが、最近まで診断、治療が困難であった。これは、正常と異常の精子を構成し男性の不妊症を引き起こす要因を、我々が完全に理解していないのが一つの原因であった。以上精子汚染白血球(Leukocytospermia)による過剰反応性酸素種(ROS)の過度の産生が特発性男性不妊症の数少ない明らかな発症因子の1つであることが確認された)Sikka SC 1996)。リコピンは高濃度で精巣、前立腺、副腎の中に存在する。トマト、スイカやほかのリコピンに富んだ果物や野菜を多く消費する、地中海地方に住んでいる人々は不妊症になる危険率が低い(男女とも)ことが、疫学研究によって明らかにされた。これらの研究結果は、リコピンがこれらの有益な効果の原因であると考える。

 最近発表されたデータは、リコピンの補足は特発性の乏精子症・精子無力症における精子生存ばかりでなく、精子の増産を保証する事を示している。

 リコピンに富んだトマトからの抽出物であるLycoredは100%自然で、市販されているリコピンである。

 尿生殖器の観戦症・炎症、老化、環境毒物が参加ストレス状態(OSS)を引き起こし、その結果乏精子症・精子無力症になるのである。

 Lenzi GevatoとSulciman SAはそれぞれの研究9.43.44で、リコピンで治療された特発性不妊症の男性は改善された精子の特質、試験管内での受精、より高い妊娠率を示したことを証明している。

 我々の研究で、最高の効果が精子数と機能的精子濃度の改善に観察され、精子運動性パーセンテージと精子運動指数の改善がそれに続くことが、発見された。精子の形態における改善が観察されたが、期待はそれよりずっと大きかった。副作用は全く認められず、患者は指示された治療法によく従った。我々の研究では、合計36%の妊娠率が12ヶ月の追跡調査の終わりに観察された。

 36%という良い妊娠率は、毎日1回リコピンの高い服用量(8mg)の使用と、正常のホルモンプロフィールと抗精子抗体滴定濃度をもっていて、不妊の他のはっきりした原因がない患者のみを最新に選別したためである。

 我々の研究は、乏精子症・精子無力症による特発性男性不妊症の治療におけるリコピン(Lycored)の役割の正当性を明らかに示しているが、その信用性を確立するためには長期間にわたる研究が望まれる。

結論
 リコピン(Lycored)の補足は、乏精子症・精子無力症の不妊症の男性の精子数、運動性、形態を最善のレベルまで改善し、彼等を誇り高い父親にした。






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