リコピンと女性不妊症

更新日:5月21日


今回は、リコピンと女性不妊症のTopicsを取り上げます。

女性不妊症の一つの原因になる、婦人科の難治病でもある、子宮内膜症があります。不妊と子宮内膜症の因果関係は明確にわかっていませんが、子宮内膜症による炎症や癒着によって、組織が変形してしまい、物理的に妊娠が妨げられる場合もあれば、子宮内膜症に伴って分泌されるさまざまな物質によって、卵管内や子宮内の環境が変化するため、妊娠を妨げる場合があると考えられています。

日本産科婦人科学会のホームページ上で、子宮内膜症について、以下のように解説されています。

<子宮内膜症とは>

子宮内膜またはそれに似た組織が何らかの原因で、本来あるべき子宮の内側以外の場所で発生し発育する疾患が子宮内膜症です。20~30代の女性で発症することが多く、そのピークは30~34歳にあるといわれています。

子宮内膜症は女性ホルモンの影響で月経周期に合わせて増殖し、月経時の血液が排出されずにプールされたり、周囲の組織と癒着をおこしてさまざまな痛みをもたらしたりします。また、不妊症の原因にもなります。

<子宮内膜症の症状、治療法について>

子宮内膜症の代表的な症状は、生理痛と不妊症を挙げられます。重症の患者は、生理がスタートするとともに激しい腹痛を発生し、生理が終息に伴って痛みも治まり、次の生理周期も似たような循環を繰り返します。軽症の患者が生理痛の症状が伴わないことがほとんどで、なかなか授からない(不妊症)、または超音波検査で「チョコレートのう腫がある」と先生から言われて、初めて病気を発見するケースも少なくありません。

子宮内膜症の治療法は、大きく薬療法と手術療法があります。患者様の年齢、妊娠の希望などを総合的に判断して、産婦人科の先生から提案されます。薬療法は、症状(生理痛)に対して鎮痛剤の使用、及びホルモンの調整によって内膜症の進行をコントロールする方法があります。手術療法は、卵巣の内膜症性のう胞(チョコレートのう胞)を摘除する療法と女性生殖器全摘除する療法がありますが、内膜症の進展状況及びライフバランス(妊娠希望を含む人生のプラン等)を持って、患者と主治医の間でしっかり相談する上で治療方法を決めることが多いです。

<子宮内膜症は予防できるものなのか?>

さて、今までのご紹介で、子宮内膜症はややこしい婦人科の病気で、かかったら大変であることがお分かりになったかと思います。「病気になる前に、予防する方法はないのか?」。その疑問に対する1つの解として、アメリカのウェイン州立大学で行われた研究(イギリスのDaily・Mail紙に掲載)の内容の一部を翻訳してご紹介します。

(以下は翻訳)

英国Daily・Mail 紙で、トマトリコピンが子宮内膜症の予防に効果があるという研究結果が掲載された。これは、既にサンフランシスコの米国生殖医学会会議で発表されている論文であり子宮内膜症に悩む女性が多いイギリスでは大きく取り上げられている。臨床研究は、アメリカのウェイン州立大学で行われリコピンが瘢痕組織の形成を引き起こす化学反応を最高90%まで低下させ、トマト製品に高濃度で存在するリコピンと呼ばれる抗酸化物質が子宮内膜症によって起こる内部の瘢痕化を防止する効果が立証された。
通常、子宮内膜症は子宮内膜にある細胞が骨盤部の他の部分にくっついて癒着と呼ばれる瘢痕組織、痛み、炎症を起こし、治療法はほとんど無い。しかし研究は、子宮内膜症に見られるような癒着性の組織がリコピンによって癒着を引き起こすタンパク質の作用を80-90%減少させるということだ。
ウェイン州立大学の研究者であるTarek Dbouk 博士は、「子宮内膜症の重要な合併症の1つは、癒着を誘発する炎症を引き起こすことであり、炎症は基本的に瘢痕化を引き起こすのである。我々がやったことは、これらの癒着を引き起こす異常な細胞の作用をたどるのに役立つタンパク質マーカーを見ることであった。リコピンはこれらの細胞の異常な作用を低下させるように働いた。このことは癒着しないことを意味し、リコピンが子宮内膜症の合併症や病気を和らげるために作用することを示唆する。リコピンが癌や慢性炎症で果たす正の役割を証明している研究は多く、リコピンは栄養素であるから害にはなり得ない」と述べた。
最新の研究によりリコピンは癌、心疾患、男性不妊症などを防ぐかも知れないということが立証されている。イギリス人のリコピン平均1日摂取量は、1ミリグラム以下であり、これを大きく増やす事により200万人のイギリス女性を冒している不妊症が減少する可能性に期待がかけられている。

Reference
[1] 子宮内膜症 日本産か婦人科学会
https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=9
[2] Eating tomatoes could help fight a painful womb condition that affects 2 million women in UK
https://www.dailymail.co.uk/health/article-1084992/Eating-tomatoes-fights-painful-womb-condition-affecting-2-million-UK-women.html

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