ポリアミンと男性不妊

更新日:5月21日

今回は、ポリアミンと男性不妊のトピックスを取り上げます。

ポリアミンとは

ポリアミンとは、全生物種の細胞に含まれており、細胞の成長や増殖をはじめ、細胞の生命活動に関与している物質です。窒素を含む低分子の塩基性(アルカリ性)物質で、分子中にアミン(-NH-)を多く含むためポリアミンと名づけられました。ポリアミンはヒト体内には20種類以上存在しており、中で代表的なものはプトレスシン、スペルミジン、スペルミンの3種類です。

ポリアミンは細胞の状態を正常に保ち、生命活動を維持するのに欠くことのできない重要な存在です。

ポリアミンはヒト体内で合成、働きと変化

ポリアミンは、アミノ酸の一種であるアルギニンやオルニチンによって、体内で合成される成分です。DNA、RNA、タンパク質の合成および安定化や細胞の増殖および分化に関与している生理活性物質であり、全ての生物の細胞に普遍的に存在します。抗炎症作用、抗変異原作用、オートファジーの誘導、腸管バリア機能の維持・促進などの作用が報告されています。


ポリアミンは体内でつくり出される成分ですが、18~20歳頃歳頃をピークにその後徐々に減少し、体内で合成されるポリアミンが不足すると、老化が加速するといわれています。ポリアミン濃度が細胞の正常性を維持できなくなるレベルまで減少すると細胞機能が破綻し、さまざまな機能障害が体に発生し、生活習慣病や老年病が発症するリスクが急激に上昇すると仮説を立て、研究を進めています。



ポリアミンの摂取

ポリアミンは食事から摂取できます。
・納豆、醤油、味噌などの大豆発酵食品
・チーズなどの発酵食品
・しいたけ、マッシュルームなどのきのこ類
・鶏肉


ポリアミンの機能性食品の研究

ポリアミンは食事から摂取することが出来ますが、現代生活ではバランスの良い食事をとることが難しいことで、サプリメントで効率よくポリアミンを摂取する傾向があります。また近年、人々の健康意識上昇や、アンチエイジングに対する訴求が年々増えているため、ポリアミンの健康食品や機能性食品の研究も活発化しております。その中の代表的なものは、「ソイポリア(R)」です。

「ソイポリア(R)」は、ベビー用品メーカーのコンビが開発した原料で、人体における重要な生合成物質「ポリアミン」を供給する大豆抽出物素材で、「ポリアミン」を規格化した機能性食品です。加齢によるポリアミン不足を解消する食事以外の手段として、近年美容、細胞賦活、吸収促進、強壮と生殖、長寿、及び抗炎症等の領域で、幅広く研究が進められております。

ポリアミンと不妊治療での研究

前述のように、ポリアミンはヒト体内の細胞に普遍的に存在し、男性生殖器にも異例ではありません。精液分析によって、ポリアミンの以下の事実がわかりました。
・ポリアミンは精液中に高濃度に含まれており、精液から発見された
・精液の独特の臭いは、ポリアミンに由来する (正確にはポリアミンの酸化物質)
・ポリアミンの一種であるスペルミンとスペルミジンは精液(スペルマ)から命名


ポリアミンは、精液中に高濃度に含まれる。加齢に伴って減少するという観点から、亜鉛などよりも性機能低下に強く関与していると考えられ、ポリアミンを補給する事により、性機能低下を抑制する事ができる可能性を仮説として研究が進めております。現在、まだ関連する研究成果の発表がありませんが、ポリアミンの補充による造精機能の改善に効果を期待されています。

<Reference>
[1] Igarashi K. (2006) “Physiological functions of polyamines and regulation of polyamine content in cells
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16819267/
[2] Polyamines in aging and disease
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21869457/
[3] Inhibition of platelet aggregation by putrescine, spermidine, and spermine in hypercholesterolemic rabbits
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11257319/
[4] Polyamine-rich food decreases age-associated pathology and mortality in aged mice
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19735716/
[5] Spermidine promotes human hair growth and is a novel modulator of human epithelial stem cell functions
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21818338/


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